(2)「市民節電所」とは

 市民の省エネ・節電が進まない理由を踏まえて、提唱するのが
「市民省エネ・節電所(略して、市民節電所)」です。
 市民節電所とは、省エネ等に関心のある市民が集まったグルー
プと事務局が役割を明確にし協定を結び、情報交換や経済的手段
を使い省エネ・節電、さらにCO2排出削減の実を上げる取組、あ
るいはそれをする団体を「市民節電所」と呼ぶことにします。
 この市民節電所の名前は、節電によって生じる余剰電力は発電
所を新しく建設することと同じ価値があるという考えから節電所、
あるいはネガワット(negawatt)と呼ばれる[注]ことに因みます。
 発電所建設には大きな施設と設備などハードが求められ、多額
の資金と長時間の準備が必要ですが、節電所(省エネ・節電所と言うべきですが、こう略します)ではそのような大きなハードも多額の資金も必要とせず、短時間の準備でスタートできます。

[注] ベーター・ヘニッケ、ディーター・ザイフリート、朴勝俊訳(2001)『ネガワット 発想の転換から生まれた次世代エネルギー』省エネルギーセンター。

理論的裏付け
 提唱する「市民節電所」には4つのポイント、省エネ・節電に向けた「市民グループの自主的取り組み」を中心に据え、これを環境政策でよく使われる「協定」、「情報的手段」、「経済的手段」のポリシーミックスで支援します。

①市民グループの自主的取り組み
 市民節電所の活動のベースはボランタリー(自主的、自立的)で、他からの強制はありません。市民の自主的な省エネ・節電の活動を中心に据えています。
 また、個人参加ではなく、世話役1名を含んだ数名からなるグループ(節電所)です。それにより参加に難しさがありますが、参加した後は、活動を続けるという力が働きます。また活動にかかる費用(取引費用)を安くすることが出来ます。

②協定
 市民(グループ)と事務局はお互いの役割を明確にし協定を結び、一年単位の活動をスタートします。

②情報的手段
 取り組みを継続させ成果を上げるため、情報的手段は重要です。それは2つに別れ、その1つが情報提供で、セミナー開催や会誌あるいは情報誌の発行があります。
 もう1つが情報交換で、節電所のメンバーは世話役を通して、月々の電気・ガス使用量を事務局に報告する。事務局がこれらを集計し、解析し、節電所にフィードバックします。また経験が豊かな、削減ノウハウを持った仲間から、そうでない仲間に伝達えることが大事で、全体の情報交換会や、各節電所内での交流も大事です。
 また、省エネ・節電についての事例集積が大事で、「まほろば」では「家庭でできる省エネ・節電事例集」を作成し、メンバーで共有しています。

③経済的手段: カーボンクレジットの買取で
 経済的インセンティブとして1年間の取り組みで、削減できた電気・ガスの使用量から算出したCO2削減量を事務局が買い取る。ただ実際の電気・ガス使用量削減による料金支払額の減少の方が市民節電所で受け取れる額より10数倍大きい。
 「なぜCO2削減量を買い取るか?」「その資金はどこから来るのか?」とよく質問を受ける。これは買い取るCO2削減量には社会的に価値があるからで、「カーボンクレジット(CC)」と呼ばれています。国際的に行われている排出量取引や、最近話題となるカーボンプライシングと類似しています。
 CO2削減量買い取りは少額でも価値があるので対価を支払う。報償ではないので、社会の限界費用のように、なるべく適正な額に設定するように努めています。額は少ないが参加者の励みにはなっている。また省エネ・節電をしない人と比べ、報われていないという思いに応えることであり、フリーライド問題の解消になり、公平性を保てる。