「仕組み」を評価する

社会実験等の実施

 「仕組み」とは、市民(グループ)の省エネ・節電・CO2排出削減に向けた自主的取り組みを中心に据え、それを
「協定」・「情報提供」・「経済的手段」のポリシーミックスで支援するシステムで、以下「 」で囲って示します。

○ 社会実験の実施
 提案する「仕組み」は理論から作られたが、その効果を評価する必要があります。そのため、次の3点を目的とした社会実験を1年間(2011年7月~12年6月)かけて行った。
①「仕組み」の有効性と問題点・課題を評価する。とくに、市民は関心を示すか? 省エネ・節電に取り組むか、 続け られるか? 省エネ・節電(CO2削減)効果はでるか?
②実験結果により、より良い仕組みを構築すること、
③ノウハウやデータ分析結果を公表することです。

 その結果は、
①多様な、多くの市民(グループ)の参加があった。
 255世帯(39グループ)という多数の、それも、参加者の男女比、世帯主の年齢・職業、世帯の構成人数・年齢分布、住所、住宅形態などからみて非常に多様な世帯の参加があり、またその参加動機も多様であった。
②全参加者が取り組みを続け、中途脱落者はゼロであった。
③電気・ガス使用の高い削減を行い、多くのCO2排出削減量を達成した。
 削減率でみると、電気は9.6%、都市ガスは4.1%、LPガスは19.3%であった。それらの削減により、CO2排出削減 量は62.0トン、削減率は8.1%であった。
 すなわち、これら3点からみて、「仕組み」は有効であると言えます。

 ほかに、次のことが分かった。

① 多くの世帯、特にグループが削減した
 電気使用量の削減については、世帯別では246世帯中約80.5%が削減
 したが、グループ別では39グループ中、削減できなかったのは1グルー
 プのみで、それもわずかなマイナス(増加)であった。
 このことから、個人ではなく、グループで取り組む方が良く、たとえ
 増加した場合でも取り組みを継続する力が働くようである。

② 使用量と削減率の関係
 いままでに大いに省エネ・節電に取り組み、電気・ガスなどの使用量が
 少ない世帯は、「もうこれ以上無理だ」とよく言う。果たしてそうか?
 社会実験で、世帯別の電気使用量と削減率の関係を表したのが、左のグ
 ラフである。電気の使用量といままでの削減度合いは必ずしも関連づけ
 れないが、電気使用量の少ない世帯でも10%はおろか20%削減できた
 世帯が多いことは留意すべきであろう。

③1年間で光熱費をどれだけ減らせた?
 電気・ガスの使用量から世帯当たりの平均節約額を推計すると、電気・
 都市ガス料金合計で18,807円節約できたことが分かる。一方、CO2削減
 量の平均買取り額は755円であり、経済的インセンティブとして25倍の
 電気・ガス代の節約額を達成したことになる。



○ 「仕組み」の追加的評価
①永続的な取り組みの可能性
 1年間の取り組みの効果は判明したが、継続した場合はどうか。それを評価するため、社会実験参加者から有志を募り、8ヶ月(2012年11月~13年6月)の継続実験を行った。
 参加世帯は69、継続が50世帯、新規が19世帯。その電気使用量は継続世帯で2.2%削減したが、新規世帯の3.8%よ り低い。しかし、対前々年(社会実験の対照年)比でみると、対前年比より高い削減率を示している。
 対照年の取り方で、一年を超える活動に対しもインセンティブを付与でき、活動を活性化できる可能がある。
②買い取り資金の問題
 「仕組み」では経済的手段として、CO2排出削減量買い取りを組み込んでいる。本社会実験では 1トンあた3,000円 で買い取った。この支払総額は188,100円。これを構成世帯で割ると、1世帯当たり約741円である。これは排出量取 引や環境権の考えからしても妥当なものである。しかし、参加者が増えれば資金調達は問題となろう。
 その解決策の1つとして、買い取ったCO2削減量をカーボン・クレジット(CC)とし、CCの活用者を探すことで資金 調達が可能となる。


参考文献: 村木正義(2015)「市民の省エネ・節電/CO2排出削減を効果的・永続的に支援する一方策~国内初の仕組   みを使った節電所ネットワークによる~」地域創造学研究XXV(奈良県立大学研究季報第25巻第3号)1-38
  (http://npudb.narapu.ac.jp/contents/_pdf/k250302/k250302.pdf )